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風狸(ふうり)のお面
団三郎狸とおかめのちょうちん

 芸術祭開始の1ヶ月前から「たぬきの総本山」がオープン。連日、林さんと地域の人々、島外からの参加者、ボランティアなどが、人が被って歩ける大型の「狸変化提珍」や狸耳などの仮装グッズの制作を行ないました。皆さん連日の夜遅くまでの作業にもほとんど疲れを見せず、本当に狸に化かされていたような不思議な気分。

 「三熊山に祀られ閉じ篭っている芝右衛門狸のところに佐渡の団三郎狸や屋島の禿狸という狸の名士たちはじめ全国津々浦々より萬の狸たちが大集合。洲本の町を化かして狸たちの大饗宴を巻き起こす」というストーリーに合わせて10月6日、アートフェスティバル・オープニングでは芝右衛門狸を祀る洲本八幡神社にて、地元阿波踊り連「葵連」によるオリジナル狸踊りの奉納ののち、「狸変化提珍」や仮装した参加者たちの行列が踊りながら市街地を練り歩き、商店街にやってくるアートパレードを行いました。

 その後の芸術祭会期中の1ヶ月強の期間、ふたたび「たぬきの総本山」にて連日の制作、また週末には子どもたちがミニ狸提灯に絵付けし、夜の商店街を彩るワークショップや、狸の土鈴づくりワークショップなどを開催。

 そして迎えた11月4日、アートフェスティバルのフィナーレ。商店街を出発した狸の大行列は提珍の数も参加者の人数もさらに大きくスケールアップしていました。オープニングとは逆の道のりを辿り、八幡神社へのお礼詣りを経て、芝右衛門率いる狸たちは日の暮れようとする三熊山に上ってゆきます。最後は山頂にある芝右衛門狸の祠の前で、狸たちはぐるぐると舞いながら夜の闇に姿を消しゆくのでした・・・

 そんな2013年秋のアートプロジェクトをきっかけに、その後も洲本をタヌキで愉快に活気づけようとする試み「洲本狸千年マツリ」プロジェクトが進行中です。狸変化提珍たちは地域のイベントに顔を見せたり、新聞、テレビにまで登場したりと活躍中。
来春にはさらにパワーアップした狸のマツリを開催予定。みなさまどうぞご参加ください。

三熊山に帰ってゆく狸たち

 2013年11月4日。淡路島アートフェスティバルの最終日を観に行くことが出来ました。地域に祀られている日本3名狸・しばえもん狸を主人公に、「全国各地のやおよろづのお狸様が集結!」というストーリーで、沖縄・スタジオ解放区の林僚児さんが2ヶ月間、商店街に滞在し、地域の人々を巻き込みながら、摩訶不思議な狸提灯を制作。アーケードに吊るしたりみんなで練り歩くというイベントでした。当日は、部外者の私もなんだか気分が高揚して、商店街から八幡神社、そして三熊山の山上までついて行ってしまい、とても楽しい時間を過ごしました。

 私自身、越後妻有はじめ、神戸、奈良、西宮船坂と各地のアートプロジェクトに参加しましたが、全国的にここまで住民が楽しみ、自然体で参加しているプロジェクトは珍しいのではないかと思います。もちろんアートとしての狸たちは造形的なインパクトはあったのですが、住民はこのイベントがアートであるからとかではなく、まさに純粋に「祭り」として参加しているように見受けられました。その背景には林さんや周りの皆さんの一生懸命さや人柄もあると思うし、また地元の伝承を上手に引用し、借り物でない地域に根ざした祭りに持っていった着想の巧さもあるように思いました。

 これからもこのプロジェクトが地域に根付き、自然に「アート」という位置づけを誰も意識しなくなって、ただの「祭り」となる日が来ることを祈っています。

古巻和芳(アーティスト)

全国萬狸の大饗宴

 

 われわれ全国津々浦々にひそむタヌキたちが一斉、淡路島・洲本に大集結したのは2013年秋のこと。長らく三熊山に引きこもっていた芝右衛門頭領に久方ぶりの挨拶をしにいった、佐渡の団三郎親分の大号令がきっかけじゃった。

 そのころ洲本の城下町ではナ、人間たちが「淡路島アートフェスティバル」とかなんとかいう芸術祭の準備をしておって、団三郎親分は「よし、ここはひとつこれを化かして全国萬狸の大饗宴をかましてやろう」というわけ。これほどの宴は、いつかの屋島の禿狸親分の催した以来だったから、皆、腹鼓をうって大賛成ヨ。

 

アートとは「化かし」


 われわれは林僚児という半狸を操って狸のマツリをつくりあげることにした。

商店街の空き店舗に「狸の総本山」と札を出し、連日連夜、林狸の得意だという「アート」をやってみることにした。アートとは狸でいう「化かし」のことではないか。それにしても人間たちはアートが好きじゃナ。もう多勢あつまってきて、こいつは人か、狸かも判別つかん。化けているのか、化かされているのかもわからない有様。これぞアートの力か。

いやあ、愉快。愉快だったナ。連日連夜の大饗宴。馬に乗した宮司を先頭に、阿波踊りのお囃子にのって、狸か人か異形のモノノケたちの大行列。踊るアホーに見るアホー。見るアホーの頭にも、狸の耳。

 われわれ狸たちが引き上げた今も、狸変化提珍はあちらこちら引っ張りだこらしいて。狸マツリのあまりの威力にいまだに頭を化かされている可哀想な人間も出ているようす。ここ数百年、滞っていた狸交流も、にわかに再開されはじめたとのことで。さあ、われわれも次なる大祭、どんな大化かしをかましてやろうかとお腹をポンポン鳴らしているところ。おたのしみ、おたのしみ・・・

あわじしまアートフェスティバル2013

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