はじめに
タヌキをテーマとする前代未聞のウェブマガジン「けもり」。
淡路島(兵庫県)の洲本から、全国に向けて発信してゆきます。でも。そもそも、どうして淡路島でタヌキ?そう思われる方も少なくはないかもしれません、ここで少しご説明を。
私たちの暮らす洲本市・三熊山とその城下町には、
「しばえもん」というタヌキの物語 が伝わり、
地元の人々に長らく愛されてきました。
人の言葉を理解し、たくみに変化(へんげ)し大阪にまで物見遊山に出かけたという、この化けダヌキの伝承をモチーフとするアートプロジェクトをすすめてゆくうちに私たちは、淡路島だけでなく全国にはたくさんのタヌキたちの物語が存在することを知りました。
お酒を好んだり、戦国時代さながらの化け合戦をくりひろげたり、大入道に化けて人をおどろかせたり、ときには殺してしまったり・・・どうやら、私たちのこころの中のどこかには、生物としてのタヌキとは別の「タヌキ」がたしかに存在しているようです。「タヌキ親父」などと言うように、彼らのもつ滑稽さ、いい加減さ、ゆるやかな空気感には、このカチカチとした現代の日々において、不思議と心ひかれるところがあります。
ところで、タヌキという漢字は「狸」と書きます。
「けものへん」に「さと」と記して、タヌキ…
つまり、自然環境と人の世の間(あわい)に立つもの。
この字を見つめていると、はるか古来より私たち人の世の不思議と滑稽さ、幸せと悲哀をいつもそばで見つめてきたタヌキさんたちの姿が浮かんできます。「しばえもん」はじめ、現代にのこるタヌキの民話には、その土地土地の先人たちが培ってきた気質、知恵や教訓、交流の記憶などがゆたかに内臓されているはずです。
たぬきメディア『けもり』は、そんな「タヌキ」をテーマに、淡路島内外のアーティストやクリエイターはじめ、若い頃タヌキに化かされたことのあるおじいちゃんから、まだタヌキを見たことのない子供たちまで、
老若男女・東西南北全方位にむけて発信する、
前代未聞のたぬきメディアです。
あなたの町のタヌキ物語りから、街で見かけたおタヌキグッズまで、
口コミご参加大歓迎。
美狸もタヌキ親父もみんな寄っといで。
踊るタヌキに見るタヌキ、同じタヌなら踊らにゃソンソン。
化かされ御免の無責任編集たぬきメディア『けもり』、
いよいよはじまり、はじまり〜。
企画・編集
NPO法人 淡路島アートセンター
助成:洲本市つながり基金助成事業、はぁ〜とふるふぁんど(兵庫県遊技業協同組合)